昔からマサイに《神の山》と称えられてきたレンガイ山は、アフリカ大地溝帯にある非常に活発な火山である。
マサイ達はこの山の神に雨や牛、子供を授けてもらうために祈りを捧げる。

この山で噴出する溶岩はナトリウムやカリウムの炭酸塩鉱物を多く含み、500~600℃の低温度で噴出する。
この温度の低さのためにレンガイ山のマグマは赤い輝きを持たず、流動性が高く、黒から白へと変化する。

この特殊な性質を持ったマグマは、この山でしか見られない。

近年レンガイ山の麓で、1万9000年前のものとみられる人間の足跡が見つかった。
複数の人間が小走りで駆け抜けた足跡、親指に怪我をした足跡、女性や子供ら12人ほどが一斉に同じ方向に向かった足跡など、当時の動きが活き活きと記されている。

火山灰を含む泥の上を歩いたことにより、多くの足跡が鮮明に現在まで残されることになった。

足あとの総数は400個を超える。
これほど多くの足跡が1か所に残っている場所は他に例をみず、驚いた考古学者たちはこの地を《ダンスホール》と名付けた。
