ナイジェリアでは強いことは美であり、権力であり、富であり、ステータスである。
女性も強い男を好むため、己の体を鍛えぬく男たちが多い。
ジムの費用を支払う余裕のない者たちは、道端でトレーニングに励みお互いの筋肉を比べ合う。
ボクシングジムもストリートで行われており、大勢の観客を惹きつけている。
そんな男たちの力比べの場が、ナイジェリアの伝統ボクシング【ダンベ】。
利き腕を紐で縛って相手を殴り、もう片方の腕は防御に使う。
試合に時間制限は無く、相手が倒れた時点で試合終了。
試合に勝つために呪術師から呪い物をもらい、観衆は選手にお金を賭けて興奮する。
北部出身の選手は『ひと試合で12,000ナイラ(35ドル)稼いだこともあるんだ』と語る。
『半分は母親に送ったけど、母は僕がダンベをしているのが好きじゃないんだ』
打撲傷、歯の損壊、骨折、視力低下など、選手が受けるダメージは大きい。
しかし誰よりも強くなりたい欲望と賞金目当てに、大勢のボクサーたちが存在する。