アフリカでの新型コロナウィルス拡大に関するネガティブなニュースが、連日のように報道されています。
しかし最近アフリカ各国政府は様々な規制緩和措置を発表し、国民活動は徐々に平常時へ戻りつつあります。
実際、アフリカでの新型コロナウィルス感染状況はどうなっているのでしょうか?
先ずはこのサイト↓を参考に、国ごとの《PCR検査陽性率》を計算してみました。
https://www.worldometers.info/coronavirus/
※人口100万人あたりのPCR検査数/人口100万人当たりの感染者数《PCR検査陽性率》
※2020年5月15日現在の数値です
▶日本:1843人/127人《6.89%》
▶アンゴラ:188人/1人《0.53%》 ▶ウガンダ:1484人/4人《0.27%》
▶エチオピア:395人/2人《0.50%》 ▶ガーナ:5413人/178人《3.28%》
▶ケニア:689人/14人《2.03%》 ▶ザンビア:846人/36人《4.25%》
▶ジンバブエ:2432人/2人《0.08%》 ▶ナイジェリア:149人/25人《16.78%》
▶ナミビア:793人/6人《0.75%》 ▶ボツワナ:4902人/10人《0.20%》
▶モザンビーク164人/4人《2.44%》 ▶南アフリカ:6807人/215人《3.16%》
▶ルワンダ:3497人/22人《0.63%》
日本よりも人口100万人あたりの検査数が多く、且つ陽性率の少ない国が多く見られます。
ちなみに先進国は、以下のように陽性率が非常に高くなっています。
▶アメリカ:32166人/4407人《13.70%》 ▶イタリア:46246人/3689人《7.98%》
▶スペイン:52784人/5832人《11.05%》 ▶イギリス:32713人/3437人《10.51%》
▶フランス:21219人/2741人《12.92%》 ▶ベルギー:53839人/4687人《8.71%》
またアフリカ大陸全体でのコロナ感染者数は77,030人、世界の感染者数は4,525,411人。
アフリカの人口は世界の13%を超えていますが、コロナ感染者の数は1.7%程度です。
アフリカでのコロナによる死者数は2,579名、世界のコロナによる死者数は303,372人であり、
アフリカでのコロナによる死者数は、全世界の0.85%しかありません。
アフリカの感染者数・死者数はどこまで本当の数字が発表されているのか?という疑問や
正確な知識のある医療従事者が少ないためにPCR検査の精度が落ちるのでは?という声もあります。
しかしそれでもこれらのデータにある程度でも信憑性があれば、アフリカ諸国は今のところ
《新型コロナウィルスの封じ込めに成功している》と考えることもできるのではないでしょうか。
封じ込めに成功していると仮定した場合、それが何故なのかを考えてみました。
【封じ込めの理由①素早い対応】
今回のコロナ騒動では、アフリカ諸国の政府はとても早い時期から素早い対応をし、
流行前にも関わらず、ロックダウン・外出禁止・非常事態宣言などを次々と発令しました。
経済を優先した先進国に比べ、初動が早かったアフリカではそれほど感染が拡大していない状況が
続いているようにも思えます。
【封じ込めの理由②徹底的な管理】
アフリカには、軍や警察が非常に強い権限を持っている国が多くあります。
外出禁止を守らない市民を警察官が射殺する事件も発生ており、南アでは少なくとも約47,000人が
国家災害宣言規制違反により逮捕されていると報道されています。
このために市民は軍や警察を怖がり、ルール遵守が徹底されている国が多いように思われます。
【封じ込めの理由③感染症慣れ】
アフリカではHIV・エボラ・マラリア・コレラ・髄膜炎・ポリオなど様々な感染症や病気が
定期的に流行し、そのたびに多数の人たちが亡くなっていきました。
このため感染症や病気への対策が政府の基盤にあり、国民も感染症による死の恐怖が身近にあり
地方においても感染症の検査に慣れた熟練の医療従事者が大勢存在します。
【封じ込めの理由④国民の理解】
南アフリカではタバコ屋も酒屋も閉鎖され、酒好きが多い南ア国民は酒を入手できなくなっています。
一部の地域では酒屋を襲う人達も出てきていますが、多くの南ア人たちはジッと我慢しているようです。
もし日本政府が酒やタバコの購入を禁止したら大変な騒ぎになり、国民は従わないのではないでしょうか。
想像もしていなかった感染症や死が急に身近に現れた日本を含めた先進国の人々とは異なり、
感染症の怖さを知っているアフリカの人々のウィルスへの心構えは非常に真剣なものです。
それだけにアフリカでは、ウィルス拡大防止のための規制措置に協力する意識が高いように思われます。
【封じ込めの理由⑤政策】
ウガンダでは、ムセベニ大統領の力量が評価されているそうです。
ウガンダ政府はコロナ騒動が始まった当初から、コロナ対策に向けて国民に寄付を要請してきました。
国民は当初『逆ではないか?国民が政府から金を貰うべきでは?』と違和感を持っていたそうですが、
今では車両や大金を寄付する企業から数百円の少額を寄付する一般市民まで、多くのウガンダ人が
自ら進んで寄付を行うようになりました。
国際援助漬けでものを貰うことに慣れているアフリカ人が進んで政府に寄付をするとは驚きましたが、
ムセベニ大統領はコロナの定期会見で、寄付者の名前と寄付の金額を自ら毎回30分くらいかけて
時間のある限り読み上げています。
▶最近のムセベニ大統領の会見:https://youtu.be/g3uPpUo0rZ0
(53:30から1:23:50まで30分以上、寄付者の名前と寄付内容を読み続け感謝の意を伝えています)
また南アフリカのラマポーザ大統領は、多項目にわたる一連のロックダウン政策を事前に国民に丁寧に
説明したことにより、国内で高い評価を得ています。
ケニアのケニヤッタ大統領は、スラムの住民に主食であるトウモロコシ粉を配布しています。
ふんだんな国家予算は無くてもこうした《国民に寄り添う政府の姿勢》が、コロナ拡大防止に対する
国民の一致団結を強めているのかもしれません。
日本ではアフリカの負のニュースばかりが取り上げられていますが、むしろ逆なのではないでしょうか?
日本政府の後手後手のコロナ対策を見ていると、今回ばかりは我々先進国もアフリカ諸国から学ぶことが
あるのではないか、と思う次第です。
※アフリカでは今でもリモートロケが可能な国が多くあります。詳細はお問い合わせください。