毎年7%の経済成長を遂げ、アフリカの最大の経済大国と推測されるナイジェリア。
中心地のラゴスには、富を求めて集まった2000万人がひしめき合って暮らしている。

ラゴスの中心部は車や人で溢れかえり、NYやロンドンよりも地価が高いとも噂される。

そんな大都会ラゴスの片隅に、水上スラム【マココ】がある。
200年前には小さな漁村だったマココは、ラゴス市の急成長に伴い巨大化した。
正確な住民数は不明であるが、10万人~20万人と推測されている。

マココは【アフリカのベニス】とも呼ばれ、小学校や市場、商店や床屋、バーや水道屋など全ての都市機能が水上にある。
住民たちは陸上に上がらなくても生活していける、と胸を張る。

マココのほとんどの住民は、漁師である。
魚が豊富なラゴス湾では多くの魚が獲れ、それをラゴスの裕福層に高値で売ることができる。

漁師にとってはこれ以上ない生活の場がマココであり、子供たちは生活の中で船漕ぎや釣りの方法を学んでいく。

しかしマココでの生活は、楽ではない。
糞尿が垂れ流される海で子供たちが泳ぐ。衛生状況は劣悪であり、マラリアもはびこる。
インフラは極めて脆弱であり、上下水道や電気はとおっていない。
住民たちが独自で電気をとおしている地区もあるが、料金は非常に高額だ。

しかも現在、ラゴス市政府は港湾開発計画のためにマココの取り壊しを計画している。
住民はこれに猛反発しているが、この水上集落群は数年以内に消滅する可能性がある。
マココの住民には他に住む場所はないものの、彼らの生活は富を優先するラゴス市にとって大切ではない。

近年のアフリカは開発を重視し、その土地に暮らす人々の生活を軽視することが多い。
そんな状況がここでも垣間見られた。