東西冷戦の影響を受け、独立直後に内戦が勃発したモザンビーク。
この内戦は15年間にもわたり、1992年までに100万人以上の犠牲者をだした。
モザンビークでは現在も地雷が埋まり、行き場を失った古い兵器を見かけることがある。

そんな武器を使い、芸術作品を作る男性がいる。
7歳の時、兵隊だった叔父のライフルを持ってみたのが武器との出会いであった。
『こんなに重いものを持って走るなんて、大人はすごいと思った。これが人を殺す道具だなんて、当時の僕にはわからなかった。』と振り返る。

もともと鉄を使ったアートを作っていた彼でも、武器を使うことにはためらいもあったという。
『僕の周りでも家族や近所の人など、殺人兵器によって多くの人々が死んでしまった。』
『武器が芸術となり得るのか?まったくわからなかった。新たな挑戦だったんだ。』

この武器アートは大成功し、彼は世界中の注目を浴びる有名なアーティストとなった。
武器を壊してアートに変えることに、大きな意義を見出しているという。
『ひとつ武器を壊すたびに、人を一人救った気持になる。もうこの武器は誰も殺すことができない、って強く感じるんだ。』

彼は作品を内戦の犠牲者に捧げたいという。
平和が20年以上続いているモザンビークではあるが、いつまた戦争が起こるかは誰にもわからない。
アフリカは常に不安定だからこそ、彼のアートが注目を集めている。