アフリカプレート・ソマリプレート・アラビアプレートの3プレートが交差する地点である【ダナキル低地】は、世界で最も地殻活動が激しい地域のひとつである。
3つのプレートは現在でも年間数センチ離れ続けており、これらの地殻活動はいずれアフリカ大陸を2つに分断し、新たな海を形成するとする研究結果も発表されている。

1960年~1966年にかけて年間平均気温34.4℃(季節・昼夜を問わない最高気温)を記録し、【世界最高の年間平均気温】【人類が住む地域における世界で最も暑い場所】としてギネス記録にも登録されている。
体力を使う撮影になるが、ダナキルには他では見られない景観が数多く存在する。
【①ダロル火山】
極彩色の泉《ダロル》は、ダロル地下火山の火口である。
地下水が火山の熱によって温められ、地球内部のミネラルを吸収しながら地表へと浮上した結果、このような泉ができたという。
ダロルの黄色は地中の硫黄であり、白色や緑色はその他のミネラル成分。
地球の中身が地表に現れた場所とも言い得る。
水は極端な強酸性で、触れると皮膚が剥がれてしまうという。

【②塩の渓谷】
ダナキルでは太古の昔から、紅海からの海水が流れ込み、そして蒸発することを繰り返した。
その結果、この土地には分厚い塩の大地が形成され、奇妙な景観が数多く造形された。
この渓谷は全て「塩」で出来ている。

【③塩の採掘場】
ダナキルの大地は、分厚い塩の層からできている。
地元民はそれを板状に切り出し、ラクダの背に積んで運び、隣の州の町メケレまで運んで売る。
ミネラル分が豊富なダナキルの塩は、高値で取引されている。

【④塩の大地と塩の山】
ダロルの南側に広がる、雪で覆われたような真っ白な塩の地域。
そんな中に突然黒々とした大きな岩が現れるが、この岩もよくみれば古い塩で形成されている。
この地域には水も植物も無く、砂や岩さえ存在しない。

【⑤鏡張りの塩湖】
砂漠と呼ばれるダナキルにも僅かながら雨が降り、湖が存在する。
乾いた塩の大地も、湖の近くではウユニ塩湖のような景観へと変わる。

【⑥マグマの泉】
アフリカ大地溝帯に位置するダナキルでは地殻が薄く引き伸ばされ、マグマが地表の約20km下まで迫ってきている。
このために様々な場所で火山活動を見ることができるが、なかでも【エルタ・アレ火山】の活動は激しい。
生き物のように形を変える赤いマグマ、強烈な熱気と激しい硫黄の臭いは地球の内部を曝け出しているようであり、人間の立入りを拒んでいるかのようだ。
地球の鼓動が肉眼で見られる世界でも類を見ない場所であり、地元民のアファール族はここを「地獄の入り口」と呼ぶ。

【⑦獰猛な民族】
ダナキルに住むアファール族は、厳しい環境下で限られた物質のみで生き延びるため、精神的な勇敢さ、個人の独創性を高め、痛みに耐え、恐れを軽蔑し、死をも受け入れる気持ちをはぐくむ文化を育んできた。
アファールは誇り高く好戦的なことで有名であり、対立するイッサ族とは今でも年に数度大規模な闘争を起こし、多数の死者を出している。
ギレという刃渡り40センチものナイフとAKライフル、腰には数多くの弾丸を身につけて常に武装している。
