エチオピア奥地に住む人口1,500人程度の超少数民族、カロ族。
オモ川沿いで農業や放牧、漁などをして伝統的な生活を営む人々だ。
カロ族は、身の回りにある自然界のモノを使ったオシャレで知られている。

たとえば【ボディ・ペインティング】。なぜ、ここまで自らを飾るのか?
異性の気を惹くため、また抗争中の近隣部族に対し自分たちを強く見せるためなど諸説ある。

顔や体を塗る色や模様に決まりはなく、思い思いに個性を表現する。
白色はオモ川の泥から作り、赤色は石を焼いて作る。
しかし黄色を作る石は遠くの山中にしかないためにとても貴重な色とされ、年長者しか使えない。

カロのファッションセンスは、子供時代から磨かれる。
子供でも綺麗な花を見ればすぐに飾りとして取り入れるほど、ファッションにこだわる。

『一番オシャレなのはアメリカン』と、村人たちは口を揃える。
アメリカ人が村に来た時に生まれたのでアメリカンと名付けられた老人は、自他ともに認める村のファッションリーダー。
彼は若者にボディペイントを伝える役目を担っている。

そんなカロの村にも、文明は迫っている。
最近は近くの村に学校ができて色鉛筆が手に入るようになった。
そこでカロの子供たちは色鉛筆の芯を使い、自然界にはなかった色を楽しむようになった。

近年は町に出ていく若者たちも増えている。
上流で建設中のダムが完成すると、洪水後の肥沃な土に頼る農業ができなくなる。

アフリカの伝統は、思いのほか脆い。
子供たちが成人する頃には皆、西洋のファッションに身を包んでいるのかもしれない。