ケープタウン郊外には、美しい市内とは対照的なタウンシップが広がる。
タウンシップとはアパルトヘイトに作られた旧黒人居住区のことで、今でも貧困層の人々が住み続ける。

タウンシップの掘っ立て小屋の中で、家族の世話をしながら楽しげにビーズを作る女性たち。
ビーズ工芸は南アフリカの伝統であり、多くの黒人女性たちがビーズを使って様々なものを作ることができる。

アパルトヘイト終了直後、この伝統技術を活用した貧困対策プロジェクトが始まった。
女性たちは製作指導を受けた後、自宅に届けられたビーズを使って動物や人などユニークな作品を作り上げていく。

タウンシップの女性たちが創る、あたたかくて可愛らしい作風が人気を呼んだ。
これらを売ったお金で生活必需品の購入や、HIVの治療費などに充てることができるようになり、生活は格段に楽になったそう。
数年前は貧困に絶望していた彼女たちは、今や立派なアーティストだ。

今やこれらの作品はケープタウンの町だけでなく、世界中の国々へ輸出されている。
女性たちは生活が良くなるよう、毎日神様にお祈りしていたそうだ。
このビーズ細工は、神様からの贈り物なのかもしれない。
