今までにアフリカ各国で数多くのドローン撮影をし、学んできたことを少しだけご紹介したいと思います。
アフリカでは《ドローン=スパイ》というイメージがあり、ドローンを見ると警察へ通報する人が多くいます。
誰もいないモロッコのアトラス山中で飛ばしていたら、15分後に警察が駆けつけてきたことも。
アフリカは監視社会です。許可されていない場所でのドローン撮影はリスクが高いので絶対にやめましょう。

アフリカの人たちは非常に目や耳が良く、はるか上空を飛ぶドローンもいとも簡単に見つけます。
人の多い場所では大きなドローンは避け、できるかぎり小型で音が静かなドローンを使いましょう。

アフリカには、ドローンを見ると木や石を投げてくる人たちもいます。
彼らは非常にコントロールが良く、離れた場所からも正確にドローンを狙ってきます。
常に何かを投げられる可能性を意識し、人からは離れて飛びましょう。

ドローンを使って動物を探す密猟者も多いことから、多くの国立公園上空では飛行が禁止されています。
また野生動物はプロペラ音を嫌がるので、動物に大きなストレスを与えてしまうことも。
国立公園などで野生動物をドローン空撮する時は、動物に精通したレンジャーに同行してもらいましょう。

ナイジェリアのスラムでは、ドローンを敵視した住民たちが騒ぎ出して暴動が起こりました。
スラムなどの危険地帯で飛ばす時は、安全が確保できる離れた場所から飛ばしましょう。
また操縦場所からの脱出経路を事前にロケハンしておきましょう。

エチオピアの地方の村では、見たことのない飛行物体に驚いた村人たちがパニックに陥りました。
アフリカの村では事前にドローンが何かを村人たちに説明し、チーフの認可を頂いたうえで飛ばしましょう。

アフリカの子ども達はドローンを見ると走ってやってきて、そして逃げます。
興奮して言うことを聞かなくなる子どもは、プロペラで怪我をする可能性があり非常に危険です。
周囲に子どものいる場所での離着陸時には、子どもを近づけないようにしましょう。

地方の空き地にヘリで着陸した時、プロペラが回っているのに大勢の村人が走ってきました。

アフリカの人々はドローンにもとても興味があるので、同様のことが起こり得ます。
子どもだけでなく大人たちも近づいてこないよう、離着陸の際には人除け人員を配置しましょう。

都市部では妨害電波により、操縦不可能になったことが何度もありました。
アフリカの都市では妨害電波が飛んでいることがあるので、あまり遠くまで飛ばさないようにしましょう。

アフリカに限ったことではありませんが、鳥がドローンを攻撃してくることがあります。
モザンビークでは鳥の大群に襲われ、

タンザニアではフラミンゴがドローンにぶつかってきました。
鳥の群れがドローンに向かってきたときには、すぐに鳥から離れましょう。

世界一暑いとされるエチオピアのダナキル砂漠では、暑さのためにバッテリーの持ちが半分程度に。
酷暑の地ではバッテリーの減りが早くなるので、バッテリーを多めに準備しましょう。

エチオピアのエルタアレ火山では、火山の噴煙で機体が目視できなくなりました。
火山を撮影する際は、風向きにより方向を変える煙に巻き込まれないよう注意しましょう。

ナミビアやモロッコの砂漠の砂は粒子が細かく、プロペラの風圧で砂埃が無き上がります。
砂漠での離着陸は、砂から機体を守るためにハンドリリース・ハンドキャッチを心がけましょう。

揺れる船上での離着陸には、高度な技術が必要です。
モザンビークの船上で急に波が高くなり、ハンドキャッチに苦労したことがあります。
船からのドローン撮影は水没のリスクが高いので避けましょう。
やむを得ず揺れる船上でハンドキャッチする場合は、グローブやヘルメット等を装着しましょう。

アフリカの多くの国では、ドローンの持ち込みが制限されています。
許可をとらずにドローンを持ち込み通関で見つかると、没収だけでは済まされないこともあります。
ドローンの持込許可がおりない場合は密輸入をせず、現地のドローンを借りましょう。

手軽に空撮ができる便利なドローンですが、同時にとても危険なものだという認識が大切です。
アフリカでドローンの使い方を誤ると人や動物に怪我をさせたり自分が怪我をするだけではなく、
逮捕・拘束されて大きな問題となることもあります。
ドローンの扱いにはじゅうぶん注意しつつ、空から見たアフリカを堪能しましょう。