アフリカ最大の湖、ビクトリア湖に浮かぶミギンゴ島。
サッカー場半分程度の広さしかない小さなこの島には、なんと800人もの人々が住んでいる。

住民一人あたりの平均居住スペースは畳二枚ほど。人口超過密状態の理由はナイルパーチだ。
ナイルパーチは季節により漁場が変わるが、ミギンゴ島は全季節のナイルパーチ漁場にほど近い立地にある。
このために島の住民はボートのガソリン代が大幅に節約できるという。

この島はナイルパーチの一大取引所となっており、魚が高く売れることも人気の理由。
ナイルパーチは1キロあたり180円で売れるため、20キロの大物を釣れば3600円もの収入が得られる。
ミギンゴ島は漁師にとっての宝島なのである。

大金を手にする漁師たちを目当てに、様々な商売人もこの島にやってくる。
商店や洋服店、電気店や携帯電話屋、食堂やバー、充電屋やホテルなどが所せましと立ち並び
この島の通路は人がすれ違うことも難しい。

一攫千金を狙う人々が集まるこの小さな島は、いつも異様な熱気に包まれている。

ミギンゴ島はケニア領土であるものの、ウガンダ国境に近い。
2009年ウガンダのムセベニ大統領は、ケニア人漁師がウガンダ領域で漁をしていると非難した。
その後両国で話し合いがもたれ、現在はケニアとウガンダ両国がミギンゴ島に警察を置き共同で管理している。

ミギンゴ島の近くには2つの島があるが、これらの島にはほとんど人が住んでいない。
ウジンゴ島は国境を管理するためにケニア警察が駐屯しており、一般人の居住は制限されている。
ピラミッド島には悪魔が棲むとされ、人々はこの島を恐れて近づこうとしない。

1991年、ケニアの二人の漁師が海藻と蛇だらけのミギンゴ島に最初に住み着いた。
ミギンゴ島周辺がナイルパーチの宝庫だと知った彼らは、60人の漁師を島に招待したという。
その後、ウガンダやタンザニアなどからも多くの漁師たちがこの島へ移り住むようになった。

ケニア・ウガンダ・タンザニア3カ国の食文化が味わえ、各国のビールも飲める。
この島はナイルパーチからの富を求める東アフリカの人々が国境に関係なく集まり、
互いに協力しながら調和をもって暮らすことができる寛容な【東アフリカ島】なのである。
